PoCにいくらかかるのか。答えは「検証する内容によって100万円前後から500万円以上まで」です。「PoCの相場は◯◯万円」と一律には言えません。ただし、費用を左右する要因は「検証範囲の広さ」「データの有無」「技術の新規性」の3つに整理できます。この3つを押さえれば、自社の案件がどのあたりに着地しそうか、予算取りの当たりを付けられます。
この記事では、一般的な費用と期間の目安、費用が変動する理由、稟議を通すための予算の立て方、そして無料から始める方法までを解説します。なお、PoCという言葉自体が初めての方は、先に「PoCとは?」の記事をご覧ください。
PoCの費用相場はいくらですか?
案件によって検証したいことの重さがまったく違うため一律には言えませんが、規模感ごとの一般的なイメージを整理すると次の通りです(あくまで一般的な傾向であり、案件により変動します)。
PoCの費用と期間は、検証する内容の規模感によって大きく3つに分かれます。
【小規模:100万円前後/数週間〜1ヶ月程度】
- 既存のAI・クラウドサービスを組み合わせた、単機能の検証
【中規模:200万〜500万円/1〜3ヶ月程度】
- 自社データを使った精度検証や、業務フローへの組み込み検証
【大規模:500万円以上/3ヶ月以上】
- 新規性の高い技術の検証や、複数システム連携を含む検証
ここで注意してほしいのは、「相場の中央値」を探すことにあまり意味がないという点です。PoCの費用は平均で決まるのではなく、「何をどこまで確かめるか」で決まるからです。次の3つの要因を見てください。
期間についても同じ構造です。よく「PoCは3ヶ月」といった目安が語られますが、期間を決めるのは検証範囲とデータの状態です。むしろ大事なのは、最初に「いつまでに、何がわかれば成功か」を決めておくこと。終了条件を決めずに始めたPoCは、「もう少し精度を上げてから」「もう1パターン試してから」とずるずる延び、費用も膨らみがちです。PoCは期限を切って小さく終わらせ、判断して次へ進む——このリズムが崩れると、検証のはずが小さな開発プロジェクトに化けてしまいます。
なお、ワンテックワールドのPoC開発は50万〜100万円規模を基本水準としています。なぜこの水準に収められるのかは、後半で説明します。
【補足】予算に上限があるとき、PoCをどう考えるか
よくある話で言いますと、PoC検証をしたいというお客様の中でも、いくつかの種類がございます。大きく分けると、1つはある程度の規模の予算を持っていて検証を実施したいお客さん、もう一つは予算上限がついていて検証を実施したいお客さんです。
いったん、大きな予算を投じたいお客さんは別として、予算上限が決まっている場合です。この場合にすべての完璧な成果を求める方がたまにいらっしゃいますが、それはPoCではなくなってしまいます。
PoCの場合は検証なので、「この予算内でどこまでの検証を実施するか?」という考え方に切り替えてください。検証の答えがわかれば、検証などする必要ないのです。 ただ、予算の上限があることもまた事実なので、その中でのベストな形を一緒に探るという姿勢が重要になります。
ここで伝えたいことは、PoC検証は発注者側と受注する開発会社側が一丸となって実施するというのが前提なのです。
日本のDXがうまくいかない理由として、「開発会社に丸投げする発注者」と「発注者に言われたことしかやらない開発会社」という話があります。これからの時代で本気でDXやAIX(AIによる業務変革。DXのAI版)を実施したいのであれば、まずこの垣根を越えて一緒にプロジェクトの成功を目指す。この姿勢が何よりPoC検証に必要だと私は考えています。
PoCの費用を左右する要因は何ですか?
同じ「PoC」という名前でも費用に何倍もの差が出るのは、主に次の3つの要因によります。予算取りの前に、自社の案件がどこに当てはまるかをチェックしてください。
要因1:検証範囲の広さ
「AIが帳票を読み取れるか」だけを確かめるのと、「読み取った結果を既存システムに登録し、現場が使える画面まで作って確かめる」のとでは、作るものの量がまったく違います。
PoCで最もやってはいけないのは、「せっかくだから」とあれもこれも検証範囲に入れてしまうことです。範囲が広がるほど費用と期間は膨らみ、失敗したときの傷も大きくなります。検証したい問いを1つに絞るほど、PoCは安く・速く・確実になります。問いを絞れないときは、その整理自体を開発会社に相談してください。
要因2:データの有無と状態
AI系のPoCで最も費用を左右するのがデータです。検証に使えるデータが整った形で揃っていれば話は早いのですが、現実には「データはあるが形式がバラバラで使えない」「紙やExcelに散らばっていて、そもそもデジタルデータになっていない」というケースが少なくありません。この場合、検証の前にデータ整備の工程が上乗せされ、費用も期間も膨らみます。
見積もり依頼の前に、「検証に使えそうなデータが、どこに、どんな形式で、どのくらいあるか」を棚卸ししておくと、見積もりの精度が大きく上がります。
要因3:技術の新規性
実績のある技術の組み合わせで済むのか、前例の少ない技術に挑むのか。新規性が高いほど試行錯誤の工数を見込む必要があり、費用と期間は膨らみます。逆に言えば、世の中に実績が多い領域なら、PoCを飛ばして小さく本開発に入る判断もあり得ます。「そもそもPoCが必要な案件なのか」から相談できる相手を持つことが、いちばんの節約になります。
この3要因は、相見積もりの読み方にも直結します。PoCの見積もりが会社によって大きく違う場合、その差はたいてい「検証範囲の想定」と「データ整備を含むかどうか」の違いです。金額だけを比べる前に、各社が3要因をどう想定しているかを揃えてください(見積書の比較方法は「見積書のどこを見れば技術力がわかるか」の記事で詳しく解説しています)。
PoCの稟議はどう通せばいいですか?
「多少ITがわかるから」という理由でDXを任された担当者が、上長に検証の予算を上げると、ほぼ確実にこう返ってきます。「で、費用対効果はどうなんだ」。
ここで正直に答えると詰まります。PoCは「実現できるか」を確かめる工程なので、実施前にROI(投資対効果)を数字で約束することは原理的にできないからです。稟議で説明すべきは、PoC自体のリターンではなく、「PoCをやらずに本開発へ進んだ場合のリスク」です。多くの調査で、システム開発の過半は当初の予定通りにいかないとされています。数百万円〜数千万円の本開発が空振りするリスクと、その保険としてのPoC費用。この比較で説明するのが正確で、通りやすい構図です。
さらに有効なのが、段階的な予算の立て方です。「まず無料で形を見る→次に100万円以内で検証する→結果を見て本開発を判断する」という3段構えなら、各段階で撤退でき、上長にとって承認しやすい提案になります。次の章で、その具体的な進め方を説明します。
なぜワンテックワールドのPoC開発は50万〜100万円なのですか?
ワンテックワールドでは、PoCの手前に無料のプロトタイプ作成サービス「ゼロスタート」を置いているからです。全体は3ステップで進みます。
- ステップ1:ゼロスタート(無料)——「こんなことがやりたい」の一言から、最短1週間で動くプロトタイプを作成。発注側と開発側の認識を最初に揃えます(月3社限定・法人対象)
- ステップ2:PoC開発(50万〜100万円)——プロトタイプで揃えた認識をもとに、実用レベルの検証を行います。「作っただけ」ではなく、事業判断の材料になるレベルの検証結果を出すことがゴールです
- ステップ3:本開発——検証結果を踏まえ、アライアンス内で最適なチームを編成し、シームレスに移行します
一般にPoCの費用が膨らむ大きな原因は、認識合わせと初期の試行錯誤にかかる工数です。ゼロスタートでその部分を先に無料で済ませているため、PoC開発の段階では「何を検証するか」が明確になっており、50万〜100万円規模に収めやすくなっています。
【補足】なぜ「小さく始める」ことをおすすめするのか
ゼロスタートでいったんプロトタイプを見てみたい、という要望をいただくお客さんは、基本的にまだ先が見えないとか、予算を投資する決断ができていない状態のお客さんです。この記事を読んでいて、同じような状況の方は多いと思っています。
ですから、ゼロスタートでコア機能の検証や初期段階のシステムのプロトタイプを見せられても、不安であることには違いないと思います。だからこそ、100万円前後の初期段階のPoCから始めることをおすすめしています。
よくあるパターンとしては、「お金を出すならしっかりと作りたい」という要望です。これは実際に経理や経営の立場になれば気持ちはものすごくわかるのですが、システム開発は規模が大きくなると、簡単に数千万規模に膨れ上がります。このリスクは、実際に開発して予算が膨れ上がらないと実感できないことなんです。
ですが、私たちWEB開発ナビに登録している開発会社は、そういった経験を何度も何度もしています。良いこともあれば、悪い経験もしてきています。
その経験上から言いますと、まずは「なんでもやりたい」とか「完璧なものを作りたい」という気持ちをぐっと押さえて、小さく始めるを徹底してください。 経験上、これが一番スピードが速く、かつ予算がトータルで低くなります。
ですから欲張らずに、まずはゼロスタート、そして第一歩のPoCを試してもらいたいんです。お客さんに損してほしくないからこその本音です。
よくある質問
Q. PoCが終わったら、すぐに効果(コスト削減など)は出ますか?
A. いいえ。PoCはあくまで「実現できるか」の検証であり、効果が出るのは本開発したシステムが業務に導入されてからです。PoCの費用対効果を稟議で説明する際は、「本開発でムダな投資をしないための保険」と位置づけるのが正確です。
Q. PoCの期間はどのくらい見ておけばいいですか?
A. 検証範囲によりますが、問いを絞ったPoCなら1〜3ヶ月程度が一般的な目安です。なお、その手前のプロトタイプ確認だけであれば、ゼロスタートは問い合わせから最短1週間で納品します。
Q. 予算がまだ確定していないのですが、相談できますか?
A. できます。ゼロスタートは無料のため、予算確保の前に「上に見せられる動くもの」を手に入れられます。プロトタイプを見てから、PoC開発・本開発の予算を立てるという順番で問題ありません。
ゼロスタート(無料プロトタイプ作成)について詳しく見る →こちら
